結論:付属グリスで十分だが、性能を追求するなら熱伝導率8W/m・K以上を選ぶ
CPUクーラーには最初からサーマルグリスが塗布済み、または付属していることがほとんどで、通常利用ではそのままで十分な冷却性能が得られます。ただし、オーバークロックや高負荷作業を行う場合、あるいは経年劣化でグリスが乾燥してきた場合は、熱伝導率の高い製品への塗り替えが有効です。この記事では、サーマルグリスの種類ごとの特徴と選び方、正しい塗り方、交換タイミングの目安を解説します。
この記事でわかること
- サーマルグリスの種類と熱伝導率の違い
- 失敗しない塗り方の基本手順
- 塗り替え・交換の目安時期
サーマルグリスとは何のためのパーツか
CPUのヒートスプレッダとクーラーの接触面は、肉眼では平らに見えても微細な凹凸があり、そのままでは隙間に空気の層ができてしまいます。空気は熱を伝えにくいため、この隙間を熱伝導率の高いグリスで埋めることで、CPUの熱を効率よくクーラーに伝えられるようにするのがサーマルグリスの役割です。塗布量や塗りムラがあると、その部分だけ温度が上がる「ホットスポット」の原因になります。
グリスの種類|シリコン系・ナノダイヤモンド系・液体金属
市販されているサーマルグリスは、主に成分によって性能と扱いやすさが異なります。
| 種類 | 熱伝導率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| シリコン系(汎用品) | 1〜5W/m・K | クーラー付属品に多い。安価で扱いやすいが性能は控えめ |
| ナノダイヤモンド・炭素系 | 8〜14W/m・K | コストと性能のバランスが良く、自作PC向けとして人気 |
| 液体金属 | 約70〜80W/m・K | 圧倒的な熱伝導率だが導電性があり、基板に付着すると故障の原因になる |
液体金属は性能こそ突出していますが、アルミ製ヒートスプレッダを腐食させる相性問題や、こぼした際のショートリスクがあるため、初めての塗り替えではナノダイヤモンド系・炭素系の一般的なグリスを選ぶのが無難です。
選び方のポイント
- 熱伝導率:数値が高いほど冷却性能は上がるが、通常利用ならシリコン系でも問題ない
- 粘度:硬すぎるグリスは伸ばしにくく塗りムラの原因になりやすい
- 導電性の有無:液体金属以外の一般的なグリスは非導電性で扱いやすい
- 硬化のしにくさ:長期間乾燥しにくい製品を選ぶと交換頻度を抑えられる
塗り方の基本手順
- 古いグリスを拭き取る:無水エタノールを含ませた布でCPU・クーラー両面をきれいに拭き取る
- 米粒大の量を中央に一点盛りする:塗り広げず、クーラーの圧着圧力で自然に広げるのが基本
- クーラーを垂直に取り付ける:ねじれた状態で圧着すると片側だけ厚みが偏る
- ネジは対角線の順番で締める:均等な圧力をかけるため、一箇所だけ先に締め切らない
- 初回起動で温度を確認する:アイドル・高負荷時の温度が想定より高い場合は塗り直しを検討する
CPUクーラーの取り付け自体が初めての場合は、組み立て全体の流れを自作PCの組み立て手順【完全ガイド】|初めてでも失敗しない流れを解説で確認しておくと迷いにくくなります。
交換タイミングの目安
| 状況 | 交換目安 |
|---|---|
| 通常利用 | 3〜5年に一度 |
| 常時高負荷(長時間ゲーム・エンコード等) | 2〜3年に一度 |
| アイドル時温度が以前より5℃以上上昇 | 時期に関わらず塗り直しを検討 |
| CPUクーラーを取り外した場合 | 再装着時は必ず塗り直す |
💡 Tips:グリスは塗る量よりも「均一に薄く広がっているか」が重要です。多く塗りすぎるとはみ出して周辺パーツを汚す原因になるため、米粒大からの微調整をおすすめします。
まとめ
- 通常利用ならクーラー付属のグリスで十分
- 性能を求めるならナノダイヤモンド系など熱伝導率8W/m・K以上を選ぶ
- 液体金属は高性能だが導電性・腐食リスクに注意が必要
- 塗布は米粒大を中央に一点盛りし、クーラーの圧力で広げるのが基本
- 交換目安は3〜5年、温度上昇を感じたら早めの塗り直しを

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